「おい」
メロがの名前を呼び、の方へと顔を向けた。
「何?メロ」
もメロの方へと顔を向け、視線を合わせると当然ながら二人はしっかりと互いの顔を見る形になった。
「うわ・・」
「あ?」
「メロ・・メロ・・・」
「なんだよ」
「メロのメロメロビーム!!」
は目をカッと見開き、大声でくだらない事を叫んだ。
「・・・」
「で・・でました!メロメロビーム!!
久しぶりにでました!」
何かの実況中継でもしているかのように、メロを指差してペラペラと喋り続ける。
メロはもう慣れているのか、ただ呆れた顔をして黙ったままが収まるのを待っていた。
「ああ、もう。
なんでそんなに見つめるのよ!
ああ・・愛してるメロ」
目の前に本人が居るのに全く会話が成り立っておらず、独り言のようにも聞こえるの愛の言葉はとてもメロに届いているとは考えられなかった。
「・・・、俺の話を聞け」
いい加減待ちくたびれたメロはついにの言葉に口を挟んだ。
もともと気が長い方ではないメロが、少しでもの馬鹿な独り言に付き合っていたのは珍しい。
「わっ・・今日はメロメロビームが多い!」
両手で顔を覆って「きゃ」とぶりっ子をして見せるがメロはまったく動じない。
「いいから俺の話を聞け」
メロはに近づいて、顔を覆っている手を外した。
すると両手の下にはの可愛らしい笑顔があった。
「聞くよ。ちょっとふざけただけじゃない。
このごろ目も合わせてくれなかったんだもん」
「・・・」
メロが少し黙ると、は寂しそうな顔をした。
「大丈夫だよ、ちゃんと分かってるから。
メロは忙しいんだよね」
「・・・」
暫くの間沈黙が続いたが、がメロに話を振った。
「で、なんだったの?さっきの話」
メロはさっきの沈黙で逸らしかけていた目をもう一度しっかりとの方へ向けた。
「・・は俺が好きか?」
「うん」
「俺の言うことは守るか?」
「うん」
分かってるよ、メロが何を言いたいかなんて。
だから素直に返事をするよ。
メロが困らないように。
あたしが邪魔にならないように。
好きだなんてもう言わない。
声に出したらもっと好きになってしまうから。
「もうここには来るな」
いつか言われると思ってた。
でもこんなに早いなんて思わなかったよ。
あたしは「うん」って言って頷かないといけないんだ。
「・・・」
でも、実際にそう簡単にはいかないんだね。
涙がでそうで、必死でこらえた。
肩は震えるし、涙をこらえるのが精一杯で声が出せない。
頷いたら涙が溢れそう。
今すぐ目を逸らしてしまいたかったけど、なぜか出来なかった。
体中の神経を全部使う気持ちで涙をこらえてたのに、だんだんと目の前が涙で歪んだ。
これからもずっとメロに逢いたい、好きだよってたくさん言いたい。
思いっきり抱きしめていつまでも温もりを感じていたい。
一緒に、居たい。
はそんなキモチを全て胸の奥底に押し込んだ。もう涙は見られたんだ。
だから仕方ないと思い、無理やりでも笑って見せた。
笑ったら、こらえていた涙が一気に溢れたけど、そんなこと気にしなかった。
返事に大分時間がかかったけど、ゆっくりと口を開いた。
「うん」
たったこれだけの言葉でも、声は十分過ぎるほどに震えていた、これが精一杯だった。
メロはあたしがいままで見たことないくらいに哀しい顔をしていた。
「・・・すまない」
あたしはもう一度笑って見せた。
「キラが好き。
あたしとメロが別れられるのも全部キラのおかげだもん。
もうメロなんかと逢いたくない。」
声はさっきよりも震えていて、上手く言葉になっていたかは分からなかったけど、
あたしはこんな事しか言えない。
もちろん全部うそ。正反対の言葉。
キラが好きだなんて反吐が出そう。
「・・」
「・・・」
は無言で荷物も持たずに出て行った。
どこへ行くかなって決めてない。
でも早く行かなくちゃいけない気がした。
さよならなんて言わないよ。
もう逢えないかもしれないけど。
うそついてごめんね。
でもね、キラが好きなんて大嘘は吐けても、メロが嫌いだなんてやっぱり言えなかった。
ごめんなさい、弱くて。
だけど最後ぐらい本当の気持ちを伝えたかった。