「愛してる」
愛してる愛してる愛してる
何回口に出してみてもこの気持ちは納まらない。
だから何度でも言うの。
「・・・」
「なに?」
「そういうことはそんなに軽々しく毎日言っていいものではないです」
「どうして?
だって本当の事よ。
本当に愛してるもの」
竜崎は小さくため息をついた。
あたしはため息なんかつかせるような事した覚えはないのに。
「またです。
、私の事をそれほどまでに思ってくれていることは嬉しいです。
ですが、こう毎日言われ続けてしまうと少し不安になります」
わかります?と小首をかしげた竜崎に、あたしは頷きはしなかった。
だってそんなの理解不能だったから。
「どうして不安になるのよ。
あたしはこうしてちゃんと想いを伝えてるじゃない」
「ですからそれを言っているんです。
愛してるだとかそういうことはたまに聞かせていただければ結構です。
は意味を分かっていません」
悔しい。
わかってないのは竜崎の方なのに。
あたしがどれほどの想いでこの言葉を伝えてるのかわかってない。
おかしくなりそうなくらいに竜崎の事を毎日想ってるのに、愛してるのに。
全て受け止めて欲しいのに。
あたしは意味だってわかってる。使い方だって間違ってない。
なのにどうしてそんな事言うの?
「・・・」
「・・・」
・・・・・
「じゃあもう言わないよ」
だって迷惑なんでしょ。本当は今思ってたことを全て竜崎に向かって叫びたかった。
どうしてわかってくれないの?って聞きたかった。
でも彼には「L」と言う役目があって、あたしの相手ばかりしてられない。
竜崎の迷惑な事はしないって、ずっと決めていたから。
「2度と」
だってあなたがわかってくれないのなら
「一生」
意味のない言葉だもの
「絶対言わないから」
あたしには貴方の言ってる事や、考えてる事が理解できないけど、
でもやっぱりあたしの所為で竜崎が不安になるのは耐えられない。
だから、もう言わないの
「・・・・・極端すぎます。
私は毎日言って欲しくないとは言いましたが、一生言うなとは言っていません」
我侭だよ。
極端だってしょうがないじゃない、あたしはこうするしか出来なかったんだから。
他に竜崎の不安を取り除いてあげられる方法なんてあるの?
「あたしの所為で竜崎が不安になるなら絶対言わない」
あたしは竜崎と一緒に居たい、だから迷惑になる事はしない。
「・・・」
どうして黙るの?何か言ってよ。
「りゅうざ・・」
「」
「・・はい」
あたしから話そうと想っていたのに、いつもより少し大きめの竜崎の声によって、
あたしの言葉は掻き消された。
いつもはこんな声出したりしないのに。
怒ってるの・・だったら何故?
「お願いですから・・・」
竜崎は立ち上がるとあたしの目の前まで来て、鼻の先がくっつきそうな距離で止まった。
今まで無表情だったはずの竜崎の顔は、悲しそうな表情に変わっていた。
今まで竜崎のこんな表情見たことなかったのに・・・
「お願いですから、一生言わないなんて言葉、今すぐに取り消してください」
「えっ・・・」
「前言撤回してください」
「でも・・」
とん、と軽くあたしの肩に竜崎のおでこが当った。
そして包み込むようにそっと抱きしめられた。
その力はいつもよりも少し強めで、でもその腕は少し震えていた。
抱きしめられた事に驚いていると、耳元で竜崎が囁いた。
「すみませんでした」
ああ、いつもの竜崎じゃない。
いつもの竜崎ならこんなに申し訳なさそうにしないもの。
いつもなら背を向けて言うだけの言葉なのに。
・・・後悔してくれてるんだ。
あたしは竜崎の黒髪をふんわりと撫ぜた。
「好きよ、愛してる。
これからもずっと」