窓から入る光で目を覚ますと、額には何か乗せられていて、触って確かめてみるとそれはぬるくなったタオルだった。
私、お城を飛び出して、ベルと逢って、すきって言われて、あたしもすきって伝えて、キスされて・・・それから、ベルに抱締められて・・?
そのあとの記憶が無い。たしかあのとき寒くて仕方なかったような気もする、今額にタオルが乗っているって事は、私は熱でも出して倒れたんだろう。そういえばベルに名前を呼ばれた気もしてきた。だいたいの状況は分かってきた。つまり私はあのときベルの目の前で気を失って、今私が居るのはきっとあのときベルが言っていたお屋敷。・・・私、ベルに迷惑かけちゃった・・とにかくお礼を言わなくちゃ。・・そういえば私いつのまにかパジャマになってる。誰が着替えさせてくれたんだろう。
ベルフェゴールを探すためベットから降り、部屋を見渡すとそこは大きさ的にはの部屋とそう変わりないが部屋が広がっていた。家具がほとんど無かったためただでさえ広い部屋はより一層広く感じられた。
「わあ・・広い・・」
きょろきょろと部屋を見回していると、少し離れた場所にあるソファから人の気配を感じた。ソファがから見ると反対向きになっているため誰なのかは分からなかったが、はソファにそっと近づいた。
そこに居るであろう人物に気付かれないよう、できる限りゆっくり近寄って、ソファを覗き込んだ。するとそこに居たのは今から探しにいこうとしていたベルフェゴールだった。横になって眠っているようだ。
ベル!!・・ベルが居るって事はこの部屋はベルの部屋よね。そうじゃなくても、私のせいでベルがベットで眠れなかったって事。私なんかのために気を遣ってくれた事が嬉しかったけれど、それ以上に申し訳なさがこみ上げてきた。
私、情けない・・。
「ごめんね、ベル」
眠っているって分かってはいるけれど、謝らずにはいられなかった。ベルの前にしゃがんで、そう言ったら眠っていたはずのベルの手がすっと伸びて私の腕をつかんで引き寄せた。
気が付いたら目の前にベルの顔があって、びっくりしすぎて思考が一瞬止まった。なんで、ベル起きてたの?
の思考が停止して固まっていた一瞬の間に、ベルフェゴールはの唇に自分の唇を重ねた。
優しくて、甘くて、とろけるような・・誰もが憧れる王子様のキス。この前よりもずっと、甘い。
「しし、やっと起きたんだ。おまえあの後熱出して倒れてさ、2日も寝込んでたんだぜ。
オレすっげー退屈だったよ」
「・・べ、ベルったら!!いったいいつから起きてたの!?・・私、そんなに寝てたの?あの、迷惑かけてごめんなさい。ベットも、私が使ってたからベルがソファで寝る事になっちゃったんでしょ?
ごめんね。おかげですっかり良くなったみたい、ありがとう」
「オレがおまえの気配に気付かないわけないじゃん。がベットから出てきた時から起きてたよ。
気にすんなって。以外ならオレほったらかして2日も寝てたら殺してるけど、なら許すしさ。あーあとあっちがバスルームだから、シャワーでも浴びてくれば?着替えなら用意してるし」
「そんなに前から起きてたの?・・うん。ありがとうベル」
私はベルに向かってにっこり笑った。・・っていうよりも自然と笑ってた?(自分でもよくわかんない)とにかくベルに逢えた事が、今一緒にいる事が嬉しくてたまらなかった。
そういうの全部、表情に表れて笑ってたんだと思う。
そのままバスルームへ向かいかけて、足を止め振り返りさっきから気になっていた事をたずねてみた。
「ねえ、私の着替えって誰がさせてくれたの?」
「ん?メイドだよ」
「そっか、まさかベルかな、とか思っちゃった」
私の勘違いだった、ごめんねと言って笑いバスルームへ向かったの後姿を見つめ、ベルフェゴールはうしし、と楽しそうに笑った。
「あんなおいしい仕事、メイドなんかに任せるわけないじゃん」
私はシャワーを浴びてすっきりすると、ベルが用意しておいてくれた服に着替えた。それを見てベルは可愛いって言ってほめてくれた。(すごくうれしい!)
「なあ、これからおまえどーすんの?」
「・・私、ベルと一緒にいたい」
「オレね、ボンゴレってマフィアの暗殺部隊のヴァリアーやってんの。
それでもは、オレと一緒にいたいって言ってくれる?」
ベルがマフィア・・?開いた口が塞がらないって、今の私にぴったりだなんて思った。きっと今ものすごくマヌケな顔をしてるんだろうな。
お城で大切過ぎだと言ってもいいほど大切に育てられてきた私は、お城の中でしっかり守られてきたわけで、外の世界の怖いことなんてほとんど知らずに生きてきたけれどいくらなんでもマフィアとか暗殺とかって言葉くらいは知っていた。今までそんなものに全く縁が無かった私は単純に、怖い と思った。ベルのことじゃない。その言葉が。だってベルはどう考えたって私の大好きなベルに変わりはないし、彼の事を一度だって怖いなんて考えたこともなかった。
だからねベル。
「私は、あなたがどんなことをしていたとしても、私があなたを好きな気持ちは変わらないから、だからやっぱりベルといたい」
「・・後から後悔してもオレもう離してやらねーよ?」
「うん。私、ずっとベルに逢いたかったもの。離して欲しくない」
ベルは私を抱締めて、「じゃあボスんとこ行かなきゃ」って言った後私を離して今度は手を引いて歩き出した。ボスって誰って聞くと「ヴァリアーを仕切ってるボンゴレ九代目の息子。ボスに許可もらわないとおまえヴァリアーに居られないし」って言われた。ボンゴレとかヴァリアーとかまだよく理解できてないけど、とりあえずボスの所にいかないとベルと一緒にいられない事だけははっきりと分かった。
でも・・あれ?なんで私がヴァリアー?
「あの、ベル・・ヴァリアーってたしか暗殺部隊なんでしょ?私・・そんなのできないよ?」
「大丈夫だって。ヴァリアーって言ってもには殺しなんてさせないし出来ないって分かってるからさ」
「でも・・」そう言いかけたところでボスの部屋の前に到着してしまったみたい。コンコンとベルがノックをすると中から低い声で「入れ」って聞こえてきた。(なんだか怖そう)
扉を開けるとデスクに足を乗せて椅子に座っている声にぴったりの怖そうな男の人がいた。
「ボス。こいつっていうんだけどさ、ヴァリアーいれてもいー?」
「・・・どっから拾ってきた」
「元々はオレの隣の国の姫だったんだけど城が嫌になって出てきたんだって」
「どっから拾ってきたのか訊いてんだよ」
「オレのこないだの任務場所の近くの町」
ボスはベルの話を一通り聞き終えると、ボスはしばらく私をにらんでいた。私は怖くてベルの後ろに隠れてしまいたかったけど、ボスの一言で私の運命は決まるらしいので我慢してにらまれていた。
ただにらまれてるのもなんなので、私もボスを見つめてみたりした。(なんかふわふわの毛がついてる)
「こいつ頭いいしさー仕事だって上手く要領つかめばテキパキこなせると思うぜ。
事務としてヴァリアーに置いても損は無いって」
「お願いします、ボス・・私なんでもします。お仕事だってがんばります。ヴァリアーに置いてください・・」
「・・・上手く仕事をこなせないようならすぐに追い出す」
「あ、ありがとうございます!ボス!」
「うるせぇよ。もう用が無いなら下がれ」
「ボス最高!よかったな」
ベルは自分のことみたいに喜んでくれて、私のあたまをくしゃくしゃって撫でてくれた。
ボスありがとうございます!
「の部屋は残念ながらオレじゃなくてボスの隣だって。絶対ワザとだぜ、オレとを離したの。
マジムカツクー」
「ベル・・ボスにそんなこと言ったらだめだよ。怖そうな人だったし、何されるかわかんないよ」
「大丈夫、大丈夫。だってオレ王子だもん」
「なにそれ理由になってないよー」
ベルのよくわかんない発言にあははって笑うとベルも楽しそうに笑ってくれた。幸せ。これからはずっとベルと一緒にいられるんだ。うれしい。そんなこと、絶対叶わないって思ってたから。ヘマやってボスに追い出されないようがんばろう!そうだ、まだボスしか会ってないけど、他にもヴァリアーの人はいるってベルが言ってたから後であいさつに回ろう!クッキーでも焼いて、持っていこうかな。ベルには特別にケーキも焼こう。
いつまでもずっとベルの傍に居られますように。