其の貴方を想う






ねえ、頭がズキズキ痛むよ。きっと、血が、たくさん。私はドジだから、いつかこんな日が来るってわかっていたはずなのに。
敵に背を向けた隙にやられるなんて、かっこ悪いなぁ。さっきまで空が雲に覆われていた所為でよく見えなかったボスの顔が、雲が風に流されたおかげで月明かりに照らされてぼんやりとボスだとわかる程度になった。 はっきりと見ることが出来ないのは、きっと目が霞んでしまっているからだろうね。

「        」

ボスは私にむかってなにか言っていたけれど、うまく聞き取ることができない。任務失敗に対しての罵声を浴びせられたのかもしれないし、お別れの言葉だったのかもしれない。(私は前者だと思った)(ボスは私をなんとも思ってはいないから)どちらにしろ今の私には聞き取ることはできないんだ。
・・・。ボスと、もっとまだ一緒にいたかったなぁ。
ボスは私になにも、しない。私を優しく抱き寄せることも、優しく励ますことも。(ただの私の希望だけれど)きっとどれも今の私には無意味だと知っているからだろう。医者を呼ばないのもそのためだ。ボスは、ただじっと血まみれになった私を見つめていた。
たったそれだけ、なのに、私はいまから死ぬというのに、酷く幸福感に満たされている。
ボスの傍で逝ける。ボスに看取られて最期を向かえることが出来るから。それは私にとっての最高の幸福だった。最も望んでいた最期だった。

任務失敗してごめんなさい、ボス。そして、「
愛していました」かすれる声で言ったけれど、きっとボスにはきこえていない。
私はそっと瞳を閉じた。
title
JACKMARY